アパレル業界でSDGsが注目されているのはなぜ?アパレル業界とSDGsの関連性や取り組み事例を紹介
2025年01月14日近年、SDGsに取り組む企業の話題が多く聞かれます。いたるところでSDGsという言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。アパレル業界でも、SDGsに関する取り組みが取り上げられることも多いです。
しかし、アパレル業界でSDGsが注目されているのはなぜなのでしょうか。そこでこの記事では、アパレル業界でなぜSDGsが注目されているのか解説し、関連性や取り組み事例を併せて紹介します。
アパレル業界とSDGsとの関連性について疑問を持っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
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SDGsとは?
SDGsとは、持続可能な開発目標を意味する言葉です。「Sustainable Development Goals」を略してSDGsといいます。SDGsは、2015年に国際連合に加盟するすべての国が採択した国際的な取り組みです。2030年までにさまざまな国際課題を解決するために17の具体的な目標が示されています。SDGsにおける17の目標は、以下にまとめたとおりです。
【SDGsの目指すゴール】
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任、つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和の公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsでは、「貧困」「気候変動」「社会・経済」「格差・不平等」「環境」の問題を取り入れ、世界各国で目標達成に向けてさまざまな取り組みがされています。2030年までに達成するには、各国の政府や企業などすべての人々の協力なくしては達成できません。もちろん、私たち1人ひとりの意識した生活も大切です。
アパレル業界でSDGsが注目されている理由
アパレル業界でSDGsがなぜ注目されているのでしょう。どのような理由があるのか気になるところです。ここでは、アパレル業界でSDGsが注目されている理由を3つ解説します。それぞれ詳しくみていきましょう。
環境問題
アパレル業界では長年、生産による環境汚染が問題視されていました。生産による環境破壊には、水資源の消費、化学物質の使用、廃棄、CO2排出などが挙げられます。
たとえば、1枚の服を作るのにCO2の排出量が25.5kg程と水の消費量が2,300L程、自然に負荷をかけながら作られています。天然繊維の栽培や合成繊維の製造では、1年間でCO2の排出量が90,000kt程で水の消費量が83億、切れ端などの廃棄が45,000tです。
このように、アパレル業界では、大量生産や大量消費による環境破壊が深刻化していることが課題でした。SDGsの環境保全に関する目標が定められたことにより、アパレル業界でも生産、製造過程で起こる環境問題に関心が高まっています。
社会問題
アパレル業界では、製品を製造する労働者の低賃金や長時間労働の労働環境が良くないことが、社会問題として注目されています。
アパレル製品を低価格で大量生産するためには、生産のコスト削減が必要です。そのためには、原材料を栽培する人や工場の縫製作業員を低賃金で雇う必要がありました。
また、日本の衣料品のほとんどが海外からの輸入品です。日本におけるアパレル業界の生産は、発展途上国の労働力で成り立っています。発展途上国では、児童による労働が行われているケースが多く、アパレル業界にも根付く問題の1つです。
フェアトレード(公正な貿易)を推進しており、適正賃金の支払いや生活改善を目指すところです。
企業イメージ向上
近年では、SDGsに取り組む企業は、環境や社会貢献によるイメージ向上につなげています。エシカル消費を実行していることをアピールして、環境や社会問題に取り組んでいる企業として好印象を与えられます。
エシカル消費の具体例は、エコ商品やフェアトレード商品、資源保護の認証やCO2削減の工夫をしている商品です。人や環境、社会に配慮されている商品を選んで企業を応援する消費行動をエシカル消費といいます。
エシカル消費は、SDGsのゴール12の「つくる責任 つかう責任」に関連しており、つくる責任イコール企業の責任として大きな課題です。エシカル商品やサービスの提供は、企業としてのイメージ向上につながるでしょう。
アパレル業界とSDGsの関連性
ここでは、アパレル業界とSDGsの関連性を紹介します。アパレル業界とSDGsがどのような関連があるのか気になる人は多いでしょう。ここでは、アパレル業界とSDGsの関連性を紹介します。
「つくる責任 つかう責任」
アパレル業界とSDGsのゴール12「つくる責任 つかう責任」は深く関連しています。「つくる責任 つかう責任」では、5Rを意識した無駄を出さない取り組みを企業の仕組みとして進めています。
5Rは、リサイクル(再利用)・リユース(再使用)・リフューズ(断る)・リデュース(減らす)・リペア(修理)の5つです。それぞれ、SDGsの目指すゴールに向けた活動につながります。たとえば、リユース品やリサイクル品を意欲的に購入することで無駄な生産や廃棄の削減が可能です。
このような取り組みを続けることで、環境や社会に配慮した活動に貢献できるでしょう。
「人や国の不平等をなくそう」
SDGsの目指すゴール、10「人や国の不平等をなくそう」とアパレル業界は関連が高いです。「人や国の不平等をなくそう」では、弱い立場の人や国を積極的にサポートし、あらゆる点で平等な社会を築くことを目標にしています。しかし、発展途上国では、不当な賃金や安全性が低い環境で労働しているケースが多いです。
アパレル業界では、2013年のバングラデシュの商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊したことにより安全管理の行き届いていない労働環境に注目が集まりました。事故後は、アパレル業界の取り組みとして正当な賃金の設定や安全環境の整備、労働者の人権を守る活動が少しずつ取り入れられています。
「気候変動に具体的な対策を」
SDGsの目指すゴール13「気候変動に具体的な対策を」と、アパレル業界は切り離せません。
アパレル業界では、製品の生産に多くのCO2が排出されます。二酸化炭素を含む温室効果ガスの増加は、地球温暖化を招く要因の1つです。そのため、CO2の削減は非常に重要な事項といえるでしょう。
衣料の材料でポリエステルの製造では、綿の3倍ほどのCO2が排出されているといわれています。アパレル業界では、CO2の削減対策として、オーガニックコットンのような低エネルギーで生産できる繊維の採用などが推奨されます。
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アパレル業界でSDGsに取り組む際のポイント
アパレル業界でSDGsに取り組むためには、どのようなことに気をつけると良いのでしょうか。アパレル業界でSDGsに取り組む際のポイントは4つあります。4つのポイントを押さえて、より良い環境と社会につなげていきましょう。
長期間愛用できるものを作る
アパレル業界では、SDGsに取り組むために長年愛用できるものを作ることを目標にしています。アパレル業界の流行の移り変わりは非常に激しいため、シーズンごとに多くの新作が発表されます。流行に合わせて多くの商品を購入し、翌年は着用しないでタンスで眠っている方は多いのではないでしょうか。
アパレル業界では、飽きのこないデザインを採用し、長く着用できる素材を使用するよう改善しています。これによって、大量生産・大量廃棄の負のループのサイクルを止めることが目的です。消費者も飽きのこないデザインで長く着用できるかなど、購入基準の意識改善が必要です。企業だけでなく、消費者の意識の変化でも環境保全につながります。
環境にやさしい素材を使用する
SDGsの目指すゴール7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」とあるように、すべての方が持続的にエネルギーを利用でき、持続可能なエネルギーを確保することを目指します。
アパレル業界の取り組みの1つとして試されているのが、環境に配慮した梱包資材や生地を使用することです。たとえば、プラスチック製の梱包資材を紙製に変更することでCO2削減が期待できます。このように、環境にやさしい素材を使用することでも、SDGsの取り組みにつながるでしょう。
受注生産に対応する
受注生産に対応することは、SDGsに取り組むうえで重要です。なぜなら、受注生産のシステムを取り入れることで、大量生産せずに多くの不良在庫を抱え込まずに済むからです。
たとえば、流行を取り入れた服を低価格で販売するために短期間で大量に服を生産し、コストを抑える方法があります。しかし、これではせっかくコストを抑えても、売れ残った服を廃棄するため、またエネルギーが必要です。
しかし、受注生産は顧客の注文に対して商品を製造するため、大量生産や多くの在庫を抱えるリスクをなくせます。
リサイクルを推進する
SDGsの取り組みの中では、リサイクルも推進しています。不要になった服はリサイクルショップに持ち込むことで服の廃棄を減らし、資源の循環利用が可能です。
たとえば、ダウンジャケットなどの洋服は店内に回収BOXが設置されているので洋服を投函し、リサイクルできます。また、フリマアプリや実店舗のフリーマーケットでも売るのもリサイクル方法の1つです。
リサイクルBOX設置など、環境問題に配慮した取り組みはイメージアップにもつながります。
アパレル業界でのSDGs取り組み事例
アパレル業界では、どのようにSDGsに取り組んでいるのでしょうか。ここでは、有名企業の取り組み事例をいくつかみていきましょう。
無印良品
無印良品では、SDGsを推し進めるためにさまざまなことに取り組んでいます。主な内容としては、オーガニックコットンの採用や児童の労働・強制労働の禁止などの活動です。
たとえば、オーガニックコットンやリネンを使用することで化学物質を使用しないようにしています。さらに、再生コットンやウールを推し進める活動をしています。また、高齢者施設のリノベーションや廃校跡地の活用するプロジェクトへの参加も、SDGsを推し進める取り組みといえるでしょう。
無印良品は、サステナブルな環境を作ることを目標にしており、人権に配慮した体制を整えてSDGsに貢献しています。
UNIQLO
UNIQLOは、主な取り組みとして、リサイクル活動・難民支援・環境活動基金・サステナビリティ活動を推進するなど、さまざまなSDGsの取り組みをしているアパレルブランドです。
リサイクル活動の1つとして、全国各店舗に服の回収BOXが設置されています。回収された服の内、再利用可能な状態の服の一部は難民支援にあてられます。再利用できない状態の服も、自動車の防音材や固形燃料などの再加工が可能です。
パタゴニア
パタゴニアでは、SDGsの取り組みを推進しています。主な内容は、修理サービスです。
大手アウトドアウエアを扱っているパタゴニアでは、修理サービスをしています。長く使える服を販売して、サステナブルな業界作りに貢献しています。
修理も環境保護活動の1つです。1つの物を長く使うことで、新たな生産量を抑え、余分な廃棄物を出さずに済みます。修理サービスをすることで消費者が安心して購入できるため、企業と消費者、お互いにメリットの多いサービスといえるでしょう。
THE NORTH FACE
THE NORTH FACEでは、サステナブル活動に早くから積極的に取り組んできました。リサイクルやリユースに取り組んできたブランドです。
キッズウエアでは、子どもの成長に合わせて袖丈や裾丈など、長さの調整ができるシステムを開発しました。これにより、長く着続けられるため、買い替えの頻度を抑えられます。また、マタニティウェアでは、妊娠中から産後に至るまでの体形の変化に対応可能なオーバーオールなどもあります。
BURBERRY(バーバリー)
バーバリーでは、サステナブルファッションのため、2040年までに気候ポジティブなブランドを目指すと発表しています。具体的には、ハンガーやポリ袋、衣類カバーなどの資源に堆肥化する素材で作られたプラスチックの代替品を導入しました。
さらに、バーバリーでは、2030年までにサプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量を46%削減し、最終目標は温室効果ガスの排出ゼロであると明らかにしていま明らかにしています。
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)
世界的なハイブランドであるルイ・ヴィトンも、SDGsに積極的に取り組んでいます。主な内容は、エコデザイン製品の提供・修理・リサイクル・バイオ素材などの取り組みです。
将来的に修理が必要な部分には多めにストックしています。そのため、製品の修理のために新たに原材料を調達する必要がありません。
さらに、2019年の製品に再利用の素材を取り入れる活動もしています。90%をリサイクルとバイオ素材で作られています。これ以降はリサイクル素材の使用が活発です。
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まとめ
この記事では、アパレル業界でSDGsが注目されている理由を解説しました。地球の環境や、限りある資源を守るため、アパレル業界だけでなく世界中でSDGsへの関心が高まっています。
アパレル業界では、長年にわたり問題視されている途上国による労働問題や、環境汚染問題に積極的に取り組むことで、ブランドや業界のイメージ向上にもつながっています。
企業の努力だけでなく1人ひとりの意識も改善し、「長く着られる服を選ぶ」「不要な服はリサイクルする」など、ファッションでSDGsに貢献可能です。小さな改善が大きな変化につながります。環境保全や社会問題に取り組んで、より良い未来へつないでいきましょう。
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